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セミナーレポート「持続可能な物流の未来のために~物流拠点・輸配送に求められるソリューション活用~」2024年7月23日(火)開催

物流業界の持続可能な未来を目指す DXと自動化の重要性

物流ジャーナリストである菊田一郎氏が「持続可能な物流の未来~働く人と地球の環境を守る、物流現場DXと自動化・ロボット化~」と題する基調講演を行った。経済産業省の調査によれば、2030年までに必要とされる輸送能力の34.1%が不足する可能性があり、このままでは物流全体が深刻な機能不全に陥る恐れがあるという。物流業界の第一線で活躍する菊田氏は、この危機に対処するため、物流の「ホワイト化」と「グリーン化」が急務であると強調した。「ホワイト物流」とは、労働環境の改善や賃金の向上を通じて、働く人々が安心して働ける環境を整える取り組みを指す。一方、「グリーン物流」は、再生可能エネルギーの利用やモーダルシフトの推進などを通じて、地球環境への負荷を低減する取り組みである。これらの取り組みを同時に進めることで、労働力不足と環境保護の両立が図られる。

具体的な事例として、菊田氏は山梨県の宮田倉庫の状況を紹介した。宮田倉庫では、大型トラックで運ばれてくる30kgの米袋を手作業で下ろし、パレットに積む作業が日常的に行われている。このような過酷な労働環境は、労働者にとって大きな負担となっており、自動化の必要性が浮き彫りとなっている。菊田氏は、このような現場こそが、物流の自動化・ロボット化の導入による改善が急務であると指摘した。

さらに、菊田氏は、物流のDXが持続可能な物流の実現に不可欠であると強調した。DXは単なるデジタル技術の導入にとどまらず、業務プロセス全体の抜本的な改革を通じて、新たな価値を創造することを目的としている。具体的な技術として、トラックの自動運転やドローンによる配送、AIを活用した物流センターの自動化が挙げられる。これらの技術革新により、物流の効率化と生産性向上が図られるだけでなく、環境負荷の軽減や労働環境の改善も期待できると語った。

アスクルのDX戦略:エシカルEコマースと物流自動化で目指す持続可能な未来

アスクル株式会社の成松岳志ロジスティクス本部長が講演で、同社の物流戦略とエシカルEコマースへの取り組みを紹介した。アスクルは、持続可能なEC物流の実現に向けて、DXを推進し、物流現場の自動化と省人化に注力している。

アスクルは、企業向け通販事業(BtoB事業)と個人向け通販事業(BtoC事業)の二大事業を柱とし、全国10か所の物流センターを運営。特にBtoC事業では、全国当日・翌日配送を可能にする高度に自動化された物流基盤を構築している。これにより、最速で商品を出荷し、消費者のニーズに迅速に応えることが可能となっている。

物流の自動化の一環として、アスクルは「棚搬送AGV」(自動搬送ロボット)や「GTPソリューション」(Goods To Person)を導入。これにより、重量物を自動で搬送し、人手による作業を大幅に削減した。例えば、西日本エリアの物流拠点であるAVC関西には、新たなGTPソリューションを導入し、ロングテール商品の取扱い能力を強化した。このシステムは、作業員が直接ピッキングを行う場所まで商品を搬送することで、歩行距離を削減し、作業効率を飛躍的に向上させた。

また、同社は「バース予約システム」を全センターに導入。これにより、トラックの待機時間を短縮し、入荷キャパシティを増加させることに成功した。このシステムの導入は、物流プロセス全体の効率化を促進し、トラックドライバーの生産性向上にも寄与している。

アスクルは、消費者との共創を重視し、エシカルEコマースの推進にも力を入れている。LOHACO Yahoo!店では、指定便の平準化キャンペーンを実施し、多くの消費者がその趣旨に賛同。これにより、配送の平準化率が向上し、ドライバーの負荷軽減とサービス品質の向上が図られた。

成松氏は、今後のEC市場のさらなる拡大に対応するためには、物流の新しいモデルへの進化が不可欠であると強調。アスクルは、物流の自動化と省人化を軸に、持続可能な社会の実現に貢献し続けることを目指している。

<協賛企業>セーフィー株式会社

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